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① 前十字靭帯断裂とは

前十字靭帯(Anterior Cruciate Ligament:ACL)は、膝関節の中心にあり、大腿骨(太もも)と脛骨(すね)をつなぐ重要な靭帯です。膝の前後方向のぐらつきと、ねじれの動きをコントロールする役割を担っています。

さまざまなスポーツで膝をひねることによって起こる靭帯損傷で、スポーツ外傷の中でも特に治療に時間がかかるけがの一つです。

日本では1,000人に0.81人といわれており、15〜45歳の年齢層において発生率が高くなっています。[1]福井県の同年齢人口(23,300人:2021年度)を考慮すると年間約197人が受傷していることになります。実際は運動していない人も多いためもう少し少なくなると考えられます。福井県で年間約197人、福井市で80人前後と推計されます。[2]

サッカー バスケットボール ハンドボール バドミントン スキー ラグビー 柔道 その他多くの競技

② 受傷のしかた

受傷には「非接触性」と「接触性」の2つのパターンがあります。

非接触性受傷

相手との接触なしに起こるタイプです。膝が内側に入りつま先が外を向く姿勢(Knee in Toe out)で、後方に体重が乗った瞬間に断裂します。着地・方向転換・急停止の場面で多く発生します。

接触性受傷

ラグビーや柔道のように、相手との接触で膝が強制的にひねられて起こります。接触性受傷では内側側副靭帯(MCL)損傷を合併することが多いです。

受傷の形態にかかわらず、前十字靭帯が断裂すると大腿骨が外側後方に抜けるような動きが生じます。その際に外側半月板の後部を同時に損傷したり、大腿骨と脛骨がぶつかって骨挫傷を起こすことがあります。

③ 断裂したときに何が起きるか

受傷直後は「ブツッ」という断裂音を感じることがあります。その後、徐々に関節内に出血がたまり、痛みが強くなって動けなくなります。

整形外科を受診すると、関節内の血腫(血のたまり)と、前後・ねじれ方向の不安定性が確認され強く疑います。その後MRIで確定診断されます。

⚠️ 受傷後しばらくすると痛みが落ち着いて「治った」と感じることがあります。しかし靭帯は再生していません。膝の不安定性は残ったままで、放置すると膝崩れを繰り返して半月板や軟骨が徐々に損傷していきます。

④ 治療の考え方

受傷後はまずリハビリで可動域を回復させ、膝が十分に動くようになってから手術を行うと成績が良いとされています。おおむね受傷後1か月が目安です。

⚠️ 痛みが落ち着いたからと言って放置した場合:膝の不安定性が続くことで半月板・軟骨が損傷し、受傷後10〜20年で変形性膝関節症が進んでいくケースが多いです。半月板・軟骨は現時点では再生が困難なため、損傷が進む前の治療が重要です。

以前は活動性の低い方や中高年では手術不要とされることもありましたが、現在は若年では活動性にかかわらず手術を、中高年ではその人の生活スタイルを考慮して手術するかどうかを決定しています。

⑤ 手術について

手術は「再建術」が標準です。断端を縫い合わせる縫合術は成績が不良なため、現在はほぼ行われていません。採取しても大きな影響の出ない部位の腱を移植して前十字靭帯を再建します。(移植した腱は体内で靭帯へと変化していきます:靭帯化 / ligamentization)

移植腱の選択

現在使われている移植腱は主に3種類です。競技特性・年齢・性別を考慮して選択します。

  • 膝蓋腱(BTB法)
  • 内側ハムストリング腱(半腱様筋腱,薄筋腱)
  • 大腿四頭筋腱

半月板損傷の合併について

ACL断裂に半月板損傷を合併している場合は、ACL再建術と同時に半月板縫合を行うことで治癒率が高まることがわかっており、縫合がスタンダードとなっています。半月板の断裂形態によっては先に半月板縫合を行うこともあります。縫合が難しい断裂形態の場合は部分切除を行います。断裂部の縫合を行う場合は断裂形態に応じて術後のリハビリ期間が変わることがあります。

当院での手術方針

  • 金沢大学整形外科で開発された、角丸長方形の骨孔を作成する方法で行っています[3]
  • 一重束再建を採用しています(日本では二重束再建も広く行われていますが、世界的には一重束再建が主流で同等の成績が得られています)
  • 福井総合病院にて院長が執刀します

⑥ 術後リハビリテーション

1

術直後〜1か月

早期から段階的に可動域訓練を開始。完全な伸展・屈曲の回復を目指します。

2

1〜4か月

筋力トレーニングを中心に進めます。筋力の回復が次のステップへの目安となります。

3

4〜10か月

ランニング・ジャンプ・方向転換など競技動作に近い動きへ移行します。

4

術後10〜12か月 競技復帰

筋力・安定性・動作の確認を経て、試合復帰を目指します。早すぎる復帰は再断裂のリスクがあるため、慎重に判断します。

当院では理学療法士と連携し、退院後のリハビリ・外来診察を一貫して行います。

⑦ 当院での対応

当院での対応

  • 正確に身体所見を取り、院内オープン型AI搭載MRI・超音波検査で迅速に診断
  • 日本スポーツ協会公認スポーツドクターが診察
  • 手術は福井総合病院にて院長が執刀
  • 手術後の回診・リハビリ・外来をシームレスに一貫対応
  • 予約不要・当日受診可
監修 院長 大橋義徳(整形外科専門医・医学博士・日本スポーツ協会公認スポーツドクター)

参考文献

  1. Takahashi S, Okuwaki T. Epidemiological survey of anterior cruciate ligament injury in Japanese junior high school and high school athletes: cross-sectional study. J Sports Sci. 2017;35(3):266-276.
  2. 福井県統計課. 福井県推計人口(令和3年). 福井県ホームページ. https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/toukei-jouhou/zinnkou/jinkou.html
  3. Nakase J, Takata Y, Shimozaki K, Asai K, Yoshimizu R, Kimura M, Tsuchiya H. Clinical study of anatomical ACL reconstruction using a rounded rectangular dilator. BMC Musculoskelet Disord. 2021;22:38. doi: 10.1186/s12891-020-03913-y

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