① 概要・発生率
分裂膝蓋骨は膝蓋骨(膝のお皿)の発達異常です。通常2〜6歳で癒合する複数の骨化中心が癒合不全を起こし、骨が分かれたまま線維性に結合した状態です。8〜12歳頃にレントゲン上ではっきりしてくることが多いです。[1]
分裂膝蓋骨自体の発生率は1〜6%といわれており、男女比は9:1で男性に多いです。そのうち症状が出る「有痛性分裂膝蓋骨」になるのは1〜2%程度です。つまり分裂膝蓋骨があっても症状が出ない方がほとんどです。[1]
日本では12〜14歳に多く、男女比は8:2、25%が両側性(左右両方)に見られると当院の理事長が報告し、国際的な教科書にも載っています。[2] 発生異常のため50%の患者さんで両側性に存在します。
② 原因・メカニズム
分裂膝蓋骨自体は発育の異常ですが、有痛性になる(症状が出る)のは、線維性にくっついている分裂部分が、膝を伸ばす動作の際に繰り返し引っ張られるストレスによるものと考えられています。
そのため、ジャンプを繰り返すバスケットボールや、片足で立つ動作が多いサッカーなどで発症しやすいといわれています。
③ 分類(Oohashi分類)
レントゲンによる分類として1943年にSaupeがType 1〜5を提唱していますが、もとの文献では発生割合が述べられていないことや、この論文を引用する際の誤りが多いことが指摘されています。
一方、当院理事長・大橋義一が提唱したOohashi分類は、分裂の部位とその数によって分類する方法で、国際的な教科書(Campbell's Operative Orthopaedics 第12版)にも掲載されています。[2]
Oohashi分類(分裂部位・割合)
- 上外側部の2分裂:83%(最多)
- 外側部の2分裂:12%
- 上外側部と外側部の3分裂:4%
- 上外側部の3分裂:1%
④ 症状・診断
主な症状
- 膝のお皿(膝蓋骨)の上外側部の圧痛・運動時痛
- ジャンプ・ランニング・階段昇降での痛みの増強
- 腫れ・熱感を伴うことがある
診断
- レントゲン(X線):分裂(骨の分離像)を確認できます。ただし骨折との鑑別が必要なことがあります。
- MRI:有痛性分裂膝蓋骨では分裂部に骨髄浮腫や液体貯留を認めることがあり、活動性の評価に有用です。[3]
- 超音波検査:近年、エコーで分裂部を確認したり、周囲の血流増加を認める報告があります。外来でリアルタイムに評価できる点が有用です。[4]
当院ではオープン型AI搭載MRIと超音波検査で迅速に診断し、活動性・重症度を正確に評価します。
⑤ 治療方針(保存療法)
約80%の患者さんで2ヶ月程度の保存療法により改善するという報告があり、まず保存療法を行います。[1]
安静・活動制限とストレッチ
膝への負荷を減らすため運動を一時制限し、その間に大腿四頭筋のストレッチを行いながら徐々に復帰します。初期の安静が重要です。
ギプス固定
症状が強い場合は6週間程度のギプス固定を行うことで改善が見込めます。
超音波ガイド下 pie crust法(外側広筋腱穿刺)
当院では外来で行える方法として、超音波で確認しながら局所麻酔下に外側広筋腱を穿刺するpie crust法も施行しています。まず保存療法として試みます。[4]
これらの保存療法を3ヶ月行っても改善しない場合は手術を検討します。[1]
⑥ 手術方針
保存療法で改善しない場合に手術を行います。手術方法はいくつかあり、短期間での復帰を優先する場合は骨片摘出術が選択されることが多いです。ただし骨片が大きい場合は膝蓋骨の動きが変化するため注意が必要です。
- 骨片摘出術:分裂した骨片を取り除く方法です。短期間での競技復帰が期待でき、よほど大きい骨片でない限り多く選択されます。
- 骨接合術:骨片を元の位置にくっつける方法です。
- 骨穿孔術:骨に穴を開けて骨癒合を促す方法です。
- 外側広筋腱切離術:Oohashi分類の上外側型に対して、牽引力を弱める目的で外側広筋の一部を切る方法で、良好な成績が報告されています。[5]
当院での手術方針
- 病期・骨片の大きさ・競技復帰希望を考慮して術式を選択します
- 手術は福井総合病院にて院長が執刀します
⑦ 当院での対応
当院での対応
- 正確に身体所見を取り、院内オープン型AI搭載MRI・超音波検査で迅速に診断
- 日本スポーツ協会公認スポーツドクターが診察
- 外来でのpie crust法(超音波ガイド下外側広筋腱穿刺)にも対応
- 手術は福井総合病院にて院長が執刀
- 手術後の回診・リハビリ・外来をシームレスに一貫対応
- 予約不要・当日受診可
当院理事長・大橋義一はOohashi分類を提唱し、国際的に引用されている分裂膝蓋骨の専門家です。分裂膝蓋骨の痛みでお困りの方はお気軽にご相談ください。
分裂膝蓋骨でお悩みの方へ
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参考文献
- Hines KE, Liu DS, Steele AE, Gabriel D, Prabhat A, Yen YM, Hogue GD. Treatment of symptomatic bipartite patella in patients <21 years of age: A systematic review and treatment algorithm. J Child Orthop. 2024 Dec 24;19(1):75-82. doi: 10.1177/18632521241299956
- Oohashi Y, et al. Clinical features and classification of bipartite or tripartite patella. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2015;23:1071-1076. doi: 10.1007/s00167-013-2816-3
- Akdag T, et al. Pol J Radiol. 2019;84. (MRIによる有痛性分裂膝蓋骨の画像評価)
- Nakase J, et al. Ultrasound-guided pie-crust technique for symptomatic bipartite patella. J Med Ultrason. 2019;46:497-502. doi: 10.1007/s10396-019-00941-3
- Adachi N, et al. Arthroscopic treatment for symptomatic bipartite patella. Arthroscopy. 2002;18:404-411. doi: 10.1053/jars.2002.30545